
9.11.21~11.29 『sunshine doll』factory zoomer(金沢
「明日天気になーれ!」心の中で小さく願う。こと北陸の地に住む者にとって冬に雨が降らないことが、晴れなのだ。太陽がキラキラとまぶしい日は、もうそれだけで、いいことがありそうな気になる。本原さんの「てるてる坊主」に出会ったのは一年ほど前。小さく、はかなげな、その佇まいにピンときた。今日からこいつは私のてるてる坊主。うちの窓辺でしっかり働いておくれ。土を扱う作家にとって、この形は奇跡のかたち。偶然と必然が折り合いを付けた時にだけ出来上がってくる。作家は全てを仕込み、後は願うだけ。Wish you well.
factory zoomer 辻 和美
「bits&pieces」

「bits&pieces」(detail)
09.10.24~12.20 『THE LIBRARY「本」になった美術展』
静岡市アートギャラリー
ひょうたんを思わせるかたちの白い立体が3つ並べて置かれ、すぼまった部 分と台座は紐でつながれている。それぞれの立体の表面には、広がりのある部 分から左回りの渦を描くように、和文と英文の入り交じったテキストが全体に 印字されている。この白い立体は、土の素材をもとにしたもので、テキスト は、かつてイギリスに滞在していた作者が、その当時から帰国後の約20年間に わたって、日記的に残してきたメモがもとになっている。ここでは、走り書き であるがゆえに、場所や時間、言語が交錯しているが、「土」をもとにした表 現を追求してきた作者が、その過程で思考してきたさまざまな断片を、土の手 触りを感じながら読み進めることができるのである。
篠原誠司(Gallery Art Space)

09.11.14~12.20 『この場所で』展 静岡市アートギャラリー
日常の、あるいは非日常の狭間に佇み、ふっと、息を吐く。見落としてしまいそうな、こぼれ落ちそうな感情のかけらをそっと掬いあげて、彼女はカタチをつくる。
本原玲子は、自らを「陶芸家」と呼ばない。
古より脈々とつづく、人と土との関係のある通過点に立つ、ひとりの「土を扱う作家」と言う。自分にしか見いだせない「土」の存在を確かめようと、対話し続ける。
イギリスで陶芸を学んだ本原のアトリエの壁には、たくさんの釉の試験片が掛けられ、一角には様々な化学物質のビンが並ぶ。思い描く色に辿りつくまで、何度も何度も試作を試み、釉薬づくりに取り組む。強い、本原の信念だ。しかしある時、その表情はふっと緩まる。成形され、乾燥し、いよいよ窯に入ろうとする作品達に、本原はそっと囁きかける。どうか、灼熱の炎の中を無事、くぐり抜けられますように。儚くも割れてしまった作品に、さめざめと涙する。愛おしいものへの想いが込み上げてくる。
そんな、本原の手によって生まれた作品達は、どこか誇らしげに、自分達の物語をそっと語りかけてくるのだ。(S.M)
