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2007_jin25


2007.10.12〜21  「scriptorium(写本室)」 Gallery jin

 

土という素材を使うことで知ることがある。

今、目の前にあるそれは、乾燥から1250℃という高熱を経て冷却という独特の試練をくぐり、ここに存在し得たという事実。

自分でも不思議に思うことがある。

制作途中の作品が窯に入る前に破損すると、私は泣く。みっともないほどに。これから待ち受ける試練を前にその機会すら与えられなかったという悲しみ。しかし、一度焼けたものが割れてしまったとき、私は平気だ。

「そういう運命」と思う。

窯から出てくるまで、私には祈りのようなものがある。「どうか無事に火をくぐり、この目の前に現れて。」存在し得たという事実は何にも代え難い喜びであり、その先が突然絶たれることも、何百年も存在し続ける可能性もどちらも持っていて、それはもう、私の力の及ぶところではない。

新しい朝を迎えるたびに、人間の営みが新たな目標とともに始まる。

その先を委ねることができない私たちはあらゆる可能性を想定してまだ起きていない事実を操作しようとする。こうして目を閉じている間にも無数の記しが打ち立てられていく。

私にできることと言えば、毎日コツコツ心の襞を織り続けること。

目覚めたら、同じようにまたこの世界が目の前に続いていると皆、信じて疑わない。でも毎日おんなじ繰り返しがつまらないなんて言わないで。角を曲がると突然、あたらしい世界が拓けるなんて願わないで。

この世界が無数の小さな震え、それは命とか祈りによって輝きを放っているのなら、ほんの少し自分をはみ出して、存在し得た他のものたちが明日を無事に迎えられるよう、祈ることができますように。はみ出せば、そこにもう1つ外側があることもわかっているけれど。

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