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はじめて、琵琶の音を生で聞きました。

2016年03月03日

掛川に琵琶をつくる方がいて、彼の琵琶はニューヨークのMOMAにも展示されていて、ご自身が演奏もなさるというので、先週の土曜(2016.02.27)に、さげさかのりこさんと掛川のの大東図書館へでかけた。

わたし、琵琶の音って生で聴いたこと、ない。

田んぼやら畑のなかにポツンとある複合施設のような大きな図書館。玄関脇のホールに琵琶がわりあいと無造作に置かれていた。

「うわぁ、綺麗。」これをすべて、この方が作ったのか?!(アレ?板が割れている。2つも。古いものなのかな?)

大橋鶴鵬さんのお話が始まった。

薩摩琵琶と、筑前琵琶のちがい。筑前のほうが後発のため、嵌め込みなどの工夫をして個性を出した。筑前のほうは、楽譜をのこしたり、教え方が美味かったんだなぁ、と本業は別にありながら、ただ自分の琵琶を奏でたいという想いだけで作ってきた大橋さんは嬉しそうに話す。

では、一曲という時。ここでの展示中に自分が一番弾いてきた琵琶が、エアコンの暖房と乾燥に耐えかねて、パーンッと会場に音を響かせて割れてしまったことを話された。なんてこと。突然、湿度の違うところへ連れてこられて動いたんだね。私まで涙が出そうになった。(今も)

会場では、琵琶の制作工程や彼が集めた琵琶に関する古書も展示されていた。

琵琶をつくるには、板を曲げてずいぶんと木に無理をさせているらしい。剥がれようとするのとをムリに曲げて接着するとき、「漆を使うとその接着力はくっついているというより一体化しているようなんです。でも、こういうところは膠(にかわ)を使うんです、膠はとれちゃうけど、沁みて行くから。」

試験場琵琶の話もおもしろかった。
いくつかの琵琶を検証して作った図面が展示されていたのだが、「音が鳴らなかったそうです。だって、ここんと、ここの位置じゃ、おかしいもん。平均値じゃなくて、それぞれの木の癖で変わるから、一本ずつちがうよ。私は作り方をなんとか、残そうと思ってるんだけど。」

今年のARTOROでは、道具をつくろうとみんなで話しているのだが、

手元にある素材で作る。

作る技術を教わる

でも、作ったものが残るのは、生活に必要だから残る。

日常に使うものは、それより便利なものが出てきたら、消えていく。神事や祭祀に使うものは残そうという意思があるから残る、記録もある。

「だからさ、登呂で道具を作っても、そのあとだよ。今の暮らしに必要なければ、じゃあ、何なんだ?ってことだよ。」
と二人で黙り込む。

「でも、紙に書いて残してもさ、そのとおりにはできないじゃん。やっぱり目で見ないとわかんないよ。技術って身体にしか残んないもん。」

「あー、でも私さ、畑のおじさんの仕事ずっと見てただけなんだけどさ、今もなんか縛ると時とか、あ、こういう時はあぁやってたなって、おじさんのやり方、思い出しながらやるとできるんだよ。」

「だよね?見る体験てすごいことなんだよね。そうだよね、そういう意味で今だから映像を残せるんだよね?!」

今、私たちにできること。

去年の夏、偶然買った野菜と一緒に売られていた籠の制作者高橋さんを訪ねた時の映像です。公務員を退職してから、おじいさんの残した道具で自分も作ってみようと始めたそう。「手伝った覚えはあんまりないだけん、こういうふうにやってたなぁ?と思い出しながら始めただよ。」

あの突っ立ってる竹からひごをつくつて、接着剤ひとつ使わずに、籠をつくる。やっぱり、この技術を教わっておきたいと思う。